アマゾンレビュー削除の真相
2008年 11月 20日
「サブプライム後の新資産運用」(中原圭介著・フォレスト出版)の
やや批判的なレビューを書いたところ、
このレビューだけでなく、
私が書いた他の本やCDなどのレビューも、
10数件消させるという“レビュー削除攻撃”が起りましたが、
それについて、アマゾンのヘルプデスクに問い合わせし、
何度かメールのやりとりをした結果、
下記のことがわかりました。
■アマゾンはレビュー内容を読みもせず、
「不適切」と報告数が多いものは自動削除していた。
建て前上、アマゾンは、
レビュー内容に不適切な表現が含まれていた場合、
アマゾン側で内容を検討し、
編集または不掲載にするということになっている。
もちろんアマゾンが、
すべてのレビューをチェックできるはずもないので、
基本的にはユーザーがレビューで不適切なものを、
「報告する」ボタンをクリックしたもののみ、
そのような対応をとっていると思われた。
しかし今回、なぜ私のレビューが、
不自然に故意に消されたかについて、
アマゾンと何度もやりとりをしているうちにわかったのは、
どうやら「報告する」が複数寄せられたものは、
内容を見ることなく自動削除しているということだ。
このアマゾンの仕組みを知っている人間が、
私のレビューを不適切だと、
報告ボタンを複数のユーザーIDでログインして、クリックし、
「サブプライム後の新資産運用」の批評レビューを、
何度となく削除させ、かつそれに腹を立てたのか、
関係ないレビューまで削除させるということを行ったと、
この調査結果から類推される。
■アマゾンとのやりとり
はじめに「サブプライム後の新資産運用のレビューは、
なぜ削除されたのか?」という問いに対して、
「不適切だから削除した」とアマゾンは回答した。
では、私が書いた華原朋美やTMネットワークのCDレビューで、
5つ星で絶賛しているものは、
どこか不適切なのか?と質問したところ、
「自動削除してしまいました。すみません」
ということで、すぐにアマゾンより、
削除させたレビューを復旧してもらうことができた。
その結果を聞いて、どうもあやしいと思い、
再度、「サブプライム後の新資産運用のレビューも同様に、
内容を吟味したわけではなく、
報告数が多かったので自動削除したのでは?」
と問い合わせしたところ、
「800字以上のレビューは内容いかんにかかわらず、
不掲載になる」との回答がきた。
しかしこの回答は二重におかしかった。
第一に私のレビューは800字を超えていない。
第二に、他のレビューでゆうに800字を超えている、
2000字近いレビューなども掲載されているので、
それはまったくおかしいのではと指摘したところ、
その回答はまったくの間違いであったことを認め、
お詫びのメールがきた。
ただ故意に誰がレビューを削除したかについては、
わからないのでお答えできないという回答だった。
アマゾンヘルプデスクとのやりとりは、
一人の担当者ではなく、
その時によって回答者がまちまちだったために、
時には変な回答をする輩も多かったが、
最後に回答してきた方が、
対応の不備を詫び、丁寧な返信をしてくれたので、
もうそれ以上、問い詰めるのはやめにした。
(というか自動削除は認めたものの、
誰が削除依頼したのか調査はする気がなさそうだったこともある)
今回このやりとりでわかったのは、
報告数を複数回クリックすれば、
レビューが自動削除される可能性が高いという、
アマゾンレビューのシステムの脆弱性だ。
もし他社の競合サイトなりが、
アマゾンレビュー削除攻撃を仕掛けてきたら、
ほとんどが自動削除されてしまう可能性があるので、
それはアマゾンにとって極めて危険なことではないかと、
指摘したところ、
最後の丁寧な回答者は、
関連部署にこの脆弱性については知らせてくれる、
ということにはなった。
「たかがレビューじゃないか」
と思う人もいるかもしれないが、
今、ネットのレビューや掲示板、評判などは、
消費者にとっては極めて有用なサービス選択の参考になる。
たとえば最近、私は本を買う前に、
必ずアマゾンのレビューを参考にする。
5段階評価やレビューの内容を見て、
おもしろいかどうか判断するのに、すごく参考になるのだ。
つい先日も読む本がなくなってしまい、
今まで読んだことのない伊坂幸太郎の本を読んでみようと、
アマゾンレビューを見て、チェックしたところ、
どの本も極めて評判がいいので、
古本屋にあった「ラッシュライフ」というのを買って読んだが、
実におもしろかった。
レンタルビデオ屋で映画を借りる時も、
アマゾンレビューを参考にする。
友人から勧められた映画「ただ君を愛してる」を、
他の人はどう思っているのかなと思い、
レビューを見たところ、すこぶる評価が高いので、
借りてきて見たところ、やっぱりおもしろかった。
アマゾン以外でもこうしたレビューは役に立つ。
特に有用なのが「じゃらん」の宿泊レビュー。
じゃらんで予約し実際に泊まった人がレビューを書いていて、
宿泊先選びに、食事や設備についてや感想などを読むと、
実によくわかる。
結構、辛らつなコメントも書かれていて、
汚い、うるさい、料理がまずい、少ない、
対応が悪いといったことも書かれている。
ホテルだろうか本だろうが、
人によって感想が違うのは当たり前だし、
何か悪意を持って悪いことを書く人もいる。
しかしレビュー件数が多ければ、
そうした偏った主観は結構簡単に排除できる。
たとえばホテルなんかでも、
10件投稿があり、1件だけ対応が悪いと書かれていて、
あとは好印象のレビューだったら、
ここはいいところなんだろうなと思うし、
10件中7件も8件も悪いと書かれていれば、
ここは避けておこうかなと思う。
何よりネガティブ批評の方が参考になる。
なんでもかんでも絶賛だけしているレビューは、
「ほんとかよ?」と信憑性を疑うが、
「ここはいいけどここは悪い」と書かれているレビューは、
真実味があり参考になる。
レビューとは違うが、
昨日、元厚生事務次官テロの犯行予告が、
事前にWikiに書き込まれていたという、
大誤報を毎日新聞がやり、
一部のテレビもそれを信じて、
一部、誤報したそうだが、
それを誤報だと指摘したのは2ちゃんねるだったらしい。
Wikiの書き込み時刻は日本時間ではないから、
犯行前に書かれたのではなく、
犯行後に書いたものではないかと、
2ちゃんが指摘したことで、
誤報が明らかになったという。
レビューもそうだし、掲示板もそうだが、
ネットの口コミ情報というのは、
メディアの変なバイアス(偏見)がかかっていない情報が多いので、
結構、役立つ情報も多いのだ。
(もちろん役立たないものもいっぱいあるが)
テレビや雑誌を見ても、
ほとんど紹介する本も映画も店も大絶賛しているが、
ほんとかよ?と思うわけです。
でもネットだったら、そういうおべんちゃらが少なくなる。
本音の感想がわかる。
本音のネット口コミレビューがあるかないかによって、
どのサイトを利用するかも変わってくる。
そういう時代になってきている背景を考えると、
レビューといえども、非常に重要な機能だと思う。
だからもしそれが適当に自動削除されてしまうのであれば、
サイトのレビューの信憑性に関わる。
またそういう時代だからこそ、
レビューを気にする企業が、
批判的なものを躍起になって消そうとしているのだ。
ネットは極めて強力なメディアになっている。
だから中国なんかは政府批判させないように、
監視や規制を強めているわけです。
下手をするとネットの力で政府が転覆してしまうかもしれない。
そのぐらいの力をネットは持っているわけです。
もちろんネットはいいことばかりではないが、
民主主義や情報統制という点からすれば、
極めて重要なツールだ。
毎日新聞の誤報を指摘したのが2ちゃんねる、
といったように、
今まで国民が何の疑問も抱かず、
信じ込まされていた情報の虚偽も明らかになる。
そのような意味で、レビューに限らず、
ネットにおける他人を傷つけない範囲での言論の自由というのは、
国家や企業やメディアが、
おかしなことをしない強力な監視ツールになると私は思っている。
ただネットの行き過ぎも確かに大きな問題。
たとえばこのアマゾンレビュー1つとっても、
ミスチル嫌いのアンチみたいな輩が、
聴いてもいないのに、
嫌がらせみたいなレビューを投稿してくることもある。
だからアマゾンのレビューについては、
購入した人だけが書けるようにすればいいのにと思う。
実際じゃらんはそうなっている。
でないと、泊まってもいないのに、
ホテルを誹謗中傷する目的で、
嫌がらせ的書き込みで、
ホテルの評価を下げかねないし。
ネットという便利なツールを、
うまく活用できるよう、
たとえば購入した人、泊まった人しか書けないみたいな、
ちょっとした工夫をすることで、
信頼性のおける本音の口コミ情報になるみたいな、
そういうことが必要なんだと思う。
そもそもレビューの内容を、
何を持って不適切かなんて、
判断しようがないわけだし。
レビュー削除攻撃の際、
心配していただいたみなさま、
ありがとうございます。
犯人は残念ながらわかりませんでしたが、
この問題はひとまずこれで一件落着にしようかと思います。
※ちなみに、「サブプライム~」の巻き添えを食って、
消されてしまった(現在は復旧)、
ともちゃん(華原朋美)のCDレビュー
KAHALA COMPILATION
朋ちゃんの超ベストアルバム!
☆☆☆☆☆
この1枚で、朋ちゃんの大ヒット曲が
ほとんど網羅されてます。
13曲のベスト版はまさに朋ちゃん全盛期の音楽を凝縮した、
超ベストアルバムです。
今、聴いても歌唱力に惚れ惚れします。
「どこが不適切なんじゃい?」と
アマゾンに聞いたら平謝りで、
すぐに掲載になりました。
内容なんか吟味してなかった証拠です。