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国籍という概念がすでに時代錯誤

国籍を取得する要件の改正法案が参議院で可決され、
日本人と外国人の間に生まれた子どもが、
結婚しなくても出生前に認知さえすれば、
日本国籍が取れるようになったことを受け、
世論やマスコミの大半は、
「こんなのなら誰もが日本人になれてしまう」と、
批判意見が続出しているようだ。

真っ当な批判もあれば、
ただ感情的な批判も多いみたいだが、
批判の多くが、
現代のグローバル化された時代の国際感覚の欠如と、
島国日本人という特殊性でしか
物事を判断できない狭量さがうかがえる。

単にこの法案に批判だとかいう前に、
もっと長い目で考えて、
国籍とはどうあるべきか、
国籍の必要性から考えるべきじゃないか。

<国籍は必要なのか?>
根本的な疑念だが、
国籍という概念は今の時代いるのだろうか?というか、
今の時代にマッチしなくなっているのではないか。
そもそも国籍要件うんぬんの前に、
国籍はいらないんじゃないかと思う。

国民国家が主体の20世紀の国際社会ならともかく、
ヒト、モノ、カネの移動が、
2000年以降加速度的になり、
もはや国籍とか○○人とかいう観念が、
時代錯誤になっているのではないか。

たとえば、ノーベル物理学賞で日本人3人が受賞した、
という報道があったが、これは国籍法的観念からいえば、
とんでもない大間違いだ。
なぜなら南部陽一郎氏は米国籍を持っているからだ。
つまり国籍的に言えば、
南部氏は日本人ではなくアメリカ人なのだ。
しかし日本人が3人受賞したと報道し、
それを誇らしく思っている日本人がいる。

北京オリンピックでは、
中国系の選手が他国籍をとり、
他国の代表として活躍した。
こんな状況下で、国籍別の国対抗ゲームに、
はたして意味があるのかとも思った。

サッカーや野球などでも、
帰化して日本国籍を取得し、
“日本人”として活躍すると、
多くの日本人は喜ぶが、
帰化したから日本人で、
帰化しないから外国人扱いとか、
人そのものは何も変わっていないのに、
おかしな事態だなと思う。

そもそも日本人同士の結婚しか想定していない、
前時代ならともかく、
外国人と日本人の間に子供が生まれることは、
今後もどんどん増えるわけで、
それをムリヤリどちらかの国籍にしなければならない、
ということ自体、無理が生じているのではないか。

これはやや極端な例だけど、
外国で20年暮らしている日本国籍を持つ日本人と、
日本で20年暮らして日本語もペラペラの外国籍を持つ外国人の、
どちらが「日本人らしいか」というか、
どちらが日本での権利と義務を有するべきなのかを考えれば、
もはや国籍というのは、
実態とそぐわない状況になっているように思う。

<血統主義にこだわる日本>
どうも今回の件で批判しているのは、
日本人は日本人という血統を好み、
外国人そのものに対して蔑視感情があると思える。
だから外国人が日本国籍を取得することを、
感情的に嫌がるのだろう。

しかし国籍を決めるのは、血統主義だけではない。
生地主義といって、
生まれたところが国籍という考え方の国もある。

生地主義を採用するなら、
外国人同士の子供であろうが、
日本で生まれれば日本人になり、
日本人同士の子供であろうが、
アメリカで生まれればアメリカ人になる、
みたいな考え方は、別にそれほどおかしいことではない。

でもだからといって、
私は生地主義で国籍を決めるべきとは思わない。
というかそもそも血統でも生まれた場所でも、
これだけグローバル化した時代に、
国籍を決めることなど不可能だ。

日本は島国根性から抜けきれず、
いつまでたっても国際感覚が身につかないわけだけど、
欧米であれば、
たとえばイギリス人とアメリカ人が結婚して、
ドイツで生活するとか、
血統も生地も生活拠点も全部国はバラバラ、
という人は多いだろう。

この場合に、イギリス人とアメリカ人から、
生まれた子供がドイツ人になるというのはやはり不思議だし、
だからといってイギリスかアメリカを決めるのも、
なんとなく違和感がある。
もはや国籍をあてはめることが不可能なまでに、
国際間での人の移動が活発になっている証ではないか。

<居住地ベースで考えればいいかも>
これだけ国籍が入り乱れている時代では、
これまでの国籍の範疇に入らない人間は、
今後もいっぱい出てくるわけだから、
いっそ、国籍は全世界で廃止し、
居住地ベースで権利と義務を与えればよいのではないか。

日本人と中国人の子供で、
アメリカに生まれた子供を、
日本人か中国人かアメリカ人が、
ムリヤリ国籍をあてはめるより、
その子供がどこに住んでいるかで、
住民票を出し、その住んでいる場所で、
税金なり選挙権なりを考えればいい。
もちろん、それには相当な問題と、
解決しなければならない問題は山ほどあるが。

国籍がなくなるということは、
国家がなくなることに等しい。
だからそう簡単に国籍はなくせないのはわかる。

ただ産業革命以来とも言われる、
革命的技術ITの登場により、
世界国家とか世界共通通貨とか、
そういうことが絵空事ではないところまで来ている。

国籍をなくすことで、
これまでの枠組みとはまったく違った、
新しい世界ができるというか、
今の時代に合った新しい制度が必要なんじゃないか。
もはや国籍という概念が古臭くて、
時代に通用しなくなっているように思う。

ただ今回の法案はひどいことは確か。
1つだけ言うなら、せめて、
偽って届け出た場合の罰則を強化しないと。
1年以下の懲役または20万円以下の罰金では、
まったくお話にならない。

というかこの法案を可決した連中は、
この法案を通すことで、
やくざみたいな組織からカネをもらい、
彼らに国籍ビジネスをさせるための、
手助けをしてるんじゃないかとも思える。

国籍虚偽届け出を防止するためにも、
こんな軽い罰則ではまったくお話にならないことは、
確かだとは思う。

by kasakoblog | 2008-12-05 13:50 | 政治

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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