女子高生プロ野球選手に見る夢の実現方法
2008年 12月 04日
来年4月開幕予定の「関西独立リーグ」のドラフト会議で指名され、
史上初の女性プロ野球選手が誕生した。
私は先月、マスコミ志望の学生たちに、
サラ金社員から作家になったいきさつを講演したが、
その際に「才能とは持続する情熱である」という言葉を引き合いに、
「才能がない」と自分で自分の夢をあきらめてしまう人が多いが、
あきらめずにやり続ける情熱があれば、
夢は実現するみたいなことを語った。
ちょうどこの講演台本を作成している時、
女子高生プロ野球選手誕生のニュースを聞き、
一部、台本をカットすることにした。
カットした内容は、
プロ野球選手とかスポーツ選手になるのは、
さすがに情熱だけあっても無理だけど、
作家や編集者にはそうした制約はありません。
というものだ。
女子高生がプロ野球選手になれるなんて、
どう考えても不可能だと思ったが、
このニュースを聞いて、それは間違いだと気づいたからだ。
特にこの女子高生こと吉田えりさんの、
プロになるための着眼点が実に素晴らしかった。
中学では男子にまじって野球部に入部し、
ファーストでレギュラーだったのだが、
「このままでは男子の体力差に勝てない」と、
自身が女性であることのハンデを認識し、
野手から投手に転向。
さらに投手とはいえ、
スピードなどでは男子に到底かなわないことから、
大リーグの投手が投げるナックルボールを見て、
「これを武器にしよう!」と考え、
それから毎日60球の投げ込みをして、
独力でナックルボールを習得したというのだ。
最近の若者は夢を簡単にあきらめてしまう。
採用取消されたぐらいで、
人生終わりみたいな弱音を吐く。
言い訳はいくらでもつけられるだろう。
生まれてきた時代が悪い。
自分には才能がない。
経済的に裕福じゃない。
社会が悪い。政治家が悪い。親が悪い・・・。
しかしこの女子高生は、
前例のない、常識外ともいえる、
とんでもないことをやってのけた。
女性がプロ野球選手になれるなんて、誰が思うだろうか?
きっと多くの人間が、その夢を笑うことだろう。
しかし彼女は彼女なりに、
自分の弱みやハンデを認識し、
それに打ち勝つ方法を頭で考え、
毎日の自主練で力を身につけたのだ。
まあただこうしたニュースも、
批判的に捉える人間がいるかもしれない。
彼女の家は裕福だからできたのではないか。
確かに家の地下に自主練習ができるようなスペースがあり、
家の中が放送されていたが、確かに裕福そうだ。
さらには、女子高生だから人気とりのために、
指名されたのではないかと。
確かにそれもあるかもしれない。
しかし、最終選考のトライアウトでは、
1回無失点に抑えている。
もちろん彼女がプロで通用するかもわからないが、
その入口に立ったということだけでも、
ものすごい快挙だと思う。
どんな夢も、とはいえないが、
持続する情熱があれば、
どんな逆境でも、
不可能だと思われる夢を実現することができるのではないか。
そんな夢と希望を、彼女は見事にやってのけたのだ。
私は実に素晴らしいニュースだと思った。
私も8年前、ホームページを立ち上げた際、
トラベルライター・作家かさこのホームページと書いて、
知人から笑われたものだ。
あんた何を言ってるのと?
冗談でしょと?
トラベルライターなんかになれるわけがないし、
ましてや作家なんて不可能だと。
でもそれは実現してしまった。
持続する情熱があったからだ。
そして単に情熱だけでなく、
その夢を実現するためには、
何をすればいいのか、彼女と同じように考え、
それを行動に移したからだ。
私が特別、才能があったとは思えない。
ぜひこの女子高生プロ野球選手誕生ニュースをきっかけに、
言い訳ばかりして、文句ばかりいって、
何も行動に移せない人たちが、
持続する情熱さえあれば、
どんな夢も実現するかもしれないという、
希望を持って生きてほしいなと思う。
もちろんすべての人のすべての夢は、
結果的には実現はしないと思うし、
失敗する人も大勢いると思うけど、
やる前からあきらめるより、よっぽどもマシだと思う。
ただ注意したいのは、闇雲に夢を追いかけるだけの、
現実逃避な人になるのではなく、
彼女のように、持ってうまれた性別は変えられないとか、
自分の努力ではいかんともしがたいものは、
きちんと認識した上で、
その上でどうすれば夢を実現できるのか、
その方法を頭で考え、行動に移してほしいなと思う。
かさこ講演録
http://www.kasako.com/sakuhin.files/0811speech.html