病気が僕の人生を変えた

死にかけて、はじめて気づく、生の喜び。

私は死にかけたことはないが、
何度か病気をしている。
自分のこれまでの人生を振り返ってみると、
この病気がきっかけで、
これまでの人生をあらためて、
路線変更していることに気づいた。

病気になると、体が言うことをきかなくなって、
健康であることのありがたみを感じると同時に、
「元気だったらあれもやりたい、これもやりたい」
みたいに、本音のやりたいことが出てくるんです。

そんな意味を込めて書いたのが、
「死にかけて、はじめて気づく、生の喜び」。
私が病気をきっかけに、
どう人生を変えたのか、簡単に紹介したい。

１：24才、病気でインドに行けず
私がサラ金で社員として働き、
トップセールスマンとして活躍していた頃の話。
私の唯一の楽しみは休みに海外旅行に行くこと。
その年の年末年始はインドに行こうと思っていた。

ところが仕事が忙しくて、微熱続きながらも、
無理して仕事をしたのがたたって、
年末年始のインド旅行を取りやめざるを得なかった。
多分、インフルエンザだったのだろう。
せっかくの年末年始の休みもずっと寝込んでいて、
何もできなかった。

その時、私がひらめいてしまったのが、
会社を辞めてアジアを放浪することだった。
自分が今、本当にやりたいことは何だろう。
それは旅行をすること。
それも１週間とかではなく、
何ヵ月単位で行く旅をしたい。

そう思ったら急に元気になった。
その日から旅の計画と退職計画を考え始めた。
半年後のボーナスをもらったらやめることを考え、
実際に会社を辞めて、４ヵ月の旅に出た。

もしあの時、病気になっておらず、
インドに旅行に行けたとしたら・・・。
私は会社を辞めなかっただろうし、
数ヵ月の旅もしなかったのではないかと思う。

２：27才、突然、椎間板ヘルニアになり、トラベルライターに転進

サラ金から編集業界に転職して２年目のこと。
自分が求めていた仕事ができず、
編集業界に身を置いているとはいえ、
かなり苛立っていた時期だった。
そんな時にしょうもない仕事が重なり、
始発で帰って、定時に来るみたいな生活を、
何日か続けていた時、突如、腰が痛くなった。

はじめは筋肉痛か何かと思っていたが、
歩けなくなるほどの痛みになり、
ついには自宅で寝たきりで仕事をするハメになった。

その後、松葉杖を使えば歩けるようになり、
会社で仕事をしていたが、
またもや腰痛が悪化し、寝たきりになってしまった。

その時、私は思った。
もうこの会社は辞めよう。
フリーになってトラベルライターになろうと。

この突如の椎間板ヘルニアで入院・手術し、
退院後、すぐにこの会社を退職することにした。
そのおかげで念願かなって、
トラベルライターになることができた。
旅行ガイドブックの仕事ができる会社に、
転職することができたのだ。

もしこの病気がなかったら、
いつまでもダラダラと会社に文句を言いながら、
転職する勇気もないままズルズル会社にいたのではないかと思う。

普段、健康だと、本当にやりたいことが見えない。
でも病気になって不自由になってはじめて、
自分が本当にやりたいことは何かがわかる。
大げさな言い方をすれば、
命は限りあるものだと知り、
くずくずしているのがバカらしくなる。

病気になるという時点で、
ある意味、現状の自分の環境への体があげる悲鳴なのかもしれない。
その悲鳴に従えば、
今の生活を変えることだと気づいたのだろう。

本当は病気にならなくても、
自分がやりたいことが見極められればいいけど、
なかなかそうはいかないのが人間だ。
ぜひ病気になった時に、
自分の人生を見つめ直してほしいと思う。