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ハワイはホームレス天国?!

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日本人にとって憧れの場所ハワイは、
ホームレスが多いというのをご存知だろうか。

私はまったく知らなかったが、
過去のニュース記事によると、
2006年には海岸沿いに、
1000人以上もホームレスがいて、
問題となっていたそうだ。

今回、私がハワイを訪れていたはじめのうちは、
まったくホームレスの存在に目がいかなかった。
まさかハワイにホームレスがいるとは、
思ってもみなかったからだ。

しかし、パールハーバーに行くバスを待っている時に、
もう20数年間、毎年冬になると、
ハワイで過ごしている日本人の初老の男性にお会いし、
その方がハワイはホームレスが多いという話を聞かせてくれた後、
あらためてビーチを歩いてみると、
確かにわんさかホームレスがいるのである。
観光客が多いワイキキビーチにもよく見ると多い。

その方の話によると、
・ハワイは暖かいからアメリカ本土と違って凍え死ぬこともない。
・観光地のために豊かな食糧ゴミがいっぱいあるので
食うのに困らない。
・ボランティアが週に何回か食事の提供もしている。
・だからハワイに来ればどうにかなると、ホームレスがいっぱい来る。
というのだ。

実際にボランティアが、
ワイキキビーチでホームレスに食事を配っているのを見た。
ホームレスが20数人ぐらい列をなしていた。

「食」より「職」を。

私が真っ先に思ったことだった。
ハワイには日本人観光客がわんさかあふれ、
レストランやホテルも大忙しで、
いくらでも単純労働職はあるように思える。
ホームレスを見ると、
まだまだ働けそうな人が多そうだ。
食より職ではないかと。

でも難しいなとも思う。
ホームレスに対して何もしない私のような輩が、
実際に何らかの支援をしている、
ボランティアの行動を批判するのはお門違いかもしれないが、
ボランティアが食を与えることで、
ホームレスの働く意欲を奪い、
ホームレスを増やす要因になっているかもしれない。
どうせ支援するなら、食ではなく職支援ができないものかと、
単純に思う。
実際、ハワイ州の失業率はアメリカ本土の中で最も低いらしいし。

ただ私が「食」より「職」を、と思ったのは、
単にボランティアが食を配っている姿を見たからだけではなかった。
この話をしてくれた日本人の方が、
かつてはホームレスのような生活をしていた。
その体験談を話してくれたからだ。

パールハーバーまで行くバスのなかで、
彼は自分の経歴を話してくれた。
幼い頃、両親に先立たれ、
貧しい農家に預けられ、
困窮生活を余儀なくされた。
何度も自殺や家出をしたという。

20歳の頃、貧しい農家を家出し、
東京で働いて困窮生活を脱しようと試みる。
ところが、就職するには、
保証人や身元引受人がいると言われ、
就職できずに途方に暮れ、
食べるのに困って、無銭飲食しては、
捕まる生活を繰り返していたという。

ある時、そば屋で無銭飲食をして、
逃げようと思ったが、店の主人に捕まった。
なぜこんなことをしたんだと聞かれ、
これまでの事情を話した。

するとそば屋の主人はこう言った。
「なら、うちで働け!」

彼はそのおかげで職を得ることができ、
住み込みで働くことができた。
料理の腕が立つということで、
そば屋の紹介で料亭に転職。

さらにはそこでも人の縁に恵まれ、
「おまえは営業センスがある」と、
大手企業の営業マンに転職。
職を得た彼は懸命に働き、
常に営業成績は全国トップクラスになった。

そのおかげでかなりの高額給与をもらうことができ、
結婚もできて、当時1ドル=360円時代に、
ハワイに新婚旅行に来ることができ、
ハワイが気に入って、
ハワイにコンドミニアムを購入することができ、
ここ20数年、冬はハワイで過ごすという、
リッチな生活を送れているというのだ。


もちろん彼のようにうまくいくケースは珍しい。
でもホームレス問題を解決するには、
金をばらまいたり食をばらまくことだけじゃなく、
職業につけるような支援をしてあげることじゃないかと、
その話を聞いて思った。

彼はそば屋で働かせてもらうことができたから、
無銭飲食をやめ、ホームレス生活から脱することができた。
しかしもし働かせてくれる店に出会わなければ、
無銭飲食などの犯罪行為をずっと繰り返していただろう。

失業問題やホームレス問題で重要なのは、
その場しのぎの支援だけじゃなく、
長期的に見た経済的自立支援が大事なのではないか。

そう考えると、単にボランティアが、
食事だけを与えてしまうことが、
かえって自立支援を阻害してしまう可能性があるのではないか。
そのことによってかえって、
働かなくても生きていける、
極楽ホームレス天国ハワイを作り上げているのではないかと。

私はホームレスに手を差し伸べたことはないから、
こうして偉そうにいうのは何様だという批判があるかもしれないが、
ホームレスに限らず、
誰かに何かをあげてしまうこと、与えてしまうことって、
ひょっとするとそれによって、
問題が悪化する可能性もあるということも、
考える必要があるのではないか。

成人した子供に金をせびられ、
いつも与えてしまう親のせいで、
子供がいつまでたっても自立できなくなる。
そういうことに似ていると私は思う。

ハワイが今のままなら、日本のホームレスをはじめ、
世界のホームレスに私はこうアドバイスするだろう。

「ハワイに行けば、豊かなホームレス生活が送れる。
だから片道のハワイ切符だけ持っておけ」と。

実際、私がそんなこと言わなくても、
彼の話にあったように、
ハワイは無職でも楽して生きられると、
噂を聞いてやってくるホームレスは多いようだ。

ボランティアとか景気対策とか金のバラマキとか、
人に何かを与えてあげる行為って、実はすごく難しい。

それは一見「善い」ことのように見えるけど、
一歩間違うと、ぜんぜん善くないことになりかねないのだから。


ハワイで仕事以外でフリーだったのは2日間だったが、
そのわずかな間に、貧窮生活から脱して、
お金持ちになって幸せに暮らしている男性に出会えるという、
偶然に恵まれた。

はじめはあまりの偶然に、
「日本人を騙った何かの詐欺ではないか」と、
かなり警戒しながら聞いていたのだが、
このような話を自伝にして出版しているというので、
ネットで検索したら確かに彼の名前で本があった。

自費出版でもう絶版になっているので、
日本に帰国したら本を送ってくれるという。
もし本が届いたら、
あらためて彼の脱ホームレス物語を紹介したいと思う。

それにしても旅っていうのは、
恐ろしいほど、自分が求めているものと出会うんだよな。
人の縁とは実に不思議。

自分の人生、生かすも殺すも人の縁。

by kasakoblog | 2009-03-11 20:28 | 旅行記

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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