


地元住民の自発的な活動により、
過疎漁村から人口増に転じた徳島の伊座利地区には、
過疎に悩む全国の自治体などから、
「取り組みを視察したい」という問い合わせが相次いでいる。
しかし視察希望の自治体に対して、
伊座利の推進協議会はこう答えるという。
「平日は対応できないんです。
もし視察したいなら土日に来てください」
この一言で自治体の本気度がわかるという。
「視察に来たいという自治体の多くは、
単に公費を使って、仕事の時間に、
観光旅行に来たいからという可能性が高い。
そんなんじゃ、本気で自治体を活性化させたいとは思えない。
だからわざと平日は無理と断るんです。
『土日でもいいから視察したい』
そのぐらいの気持ちを持っていなければ、
伊座利のような活性化運動はできない」
(推進協議会・草野さん)
いやー、まさに至言。
本質をついた言葉だ。
社会保障費が足りないから消費税増税するしかないといいつつ、
役人が観光旅行するための視察に、
いまだに莫大な金が使われているわけです。
しかしそんな視察したって、
不純な動機で行っているから、何の役にもたたない。
「視察したいなら土日に来い」
休みを潰してまで視察に来たいほど、本気度があるか。
公費に頼らず、時には自分たちの自腹を切ってまで、
地域を活性化したいと考えているのか。
「平日の視察は対応していない」という一言は、
実に見事という他ない。
「伊座利の地域再生は、他の過疎自治体のモデルケースになるのか」
と私が質問したところ、上記のような話をしてくれたのだった。
海の学校や漁村留学制度、漁村カフェなど、
上っ面だけマネしたところで、
住民の覚悟・やる気がなければ、
地域再生を果たすことなどできない。
何をやるかの前に、
本気で地域を再生したいと思っているのか。
その気持ちが何より大事だと、推進協議会の草野さんは言う。
「視察に来た人たちにまずこう質問します。
『本当に地域再生したいんですか?』」
伊座利では行政から見捨てられたため、
地域再生の活動費は、当初は、
住民の持ち出しによって行われていたという。
(現在は国の補助金など、お金が入ってくる仕組みを
うまく活用しているものも多い)
地域再生をやりたいなら、
平日に公費でやる“仕事”ではなく、
休日に自費でやる覚悟が住民にあるかどうか。
住民の自発的活動でない限り、
地域再生などできるはずがない。
何事も気持ちが大事。
気持ちが入ってなければ、
長続きしないし、成功などするわけがない。
本気でやりたいことをしよう。
休日を使ってでも、
自腹を切ってでもしたいことをしよう。
それが人生を楽しむ秘訣ではないか。
そんなことを伊座利の人たちから教えられた。
だから伊座利の人たちに悲壮感はない。
みんな楽しそうな表情をしていた。
伊座利のおっちゃん写真
http://www.kasako.com/0903izarifoto1.html